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Simplex Insight

のべ約1,500名が参加したCodexワークショップ。OpenAIと加速させるシンプレクスの全社AI活用

シンプレクス株式会社(以下、シンプレクス)は、2026年7月下旬に2日間にわたってOpenAIと共同で社内向けのCodexワークショップを開催しました。

シンプレクスでは、2023年7月に専門組織「Generative AIコンピテンシー」を立ち上げ、全社的な生成AI活用を推進してきました。2026年には全社標準のコーディングエージェントの一つとしてCodexを利用し、開発やプロジェクトマネジメントに加えて、業務部門での活用も進めています。

グループ約2,000人の組織に、AI活用を根付かせる取り組みとその成果について、ワークショップを企画したシンプレクスの五十嵐 博と藤田 幸久に話を聞きました。

対談メンバー

シンプレクス株式会社
クロス・フロンティアディビジョン エグゼクティブプリンシパル 五十嵐 博
クロス・フロンティアディビジョン エグゼクティブプリンシパル 藤田 幸久
※所属、肩書は取材時のものです

OpenAIと共同でCodexの全社員向けワークショップを企画

シンプレクスでは2026年からCodexを主力のツールとし、コーディングエージェントの活用を加速させています。その流れを受け、さらなる活用推進の一環として企画したのが今回のワークショップです。

企画を担当したクロス・フロンティアディビジョン エグゼクティブプリンシパルの藤田 幸久(以下、藤田)は、狙いを次のように説明します。「エンジニアに限らず、プロジェクトマネジャー(以下、PM)や業務側のメンバーにも、エージェントとしてのCodexを一度きちんと触ってもらう場を設けたかったのです。使い始めて間もないメンバーには公式の知見やベストプラクティスなど基本を学んでもらい、すでに使いこなしているメンバーには難易度の高い質問にOpenAIの方から直接答えてもらえる場を設けることで、さらなるステップアップを図れたらと考えました」


プログラムはOpenAIと相談しながら検討し、同社の社員を講師として、全社員向け、PM・業務部門向け、エンジニア向けの三つの基本セッションに、個別相談会を組み合わせる構成にしました。エンジニアだけでなく、PM・業務部門向けのセッションも実施したのは、シンプレクス側の意向によるもの。また、OpenAIとのセミナーは以前にも実施していましたが、今回は個別相談の枠を多く設け、プロジェクトごとの課題を直接相談できるようにしました。

シンプレクスは現在、「AI-Native Delivery」を個人ではなく組織のレベルで実践しようとしています。AI-Native Deliveryとは、AIを前提に開発工程と人の役割を設計し、生産性と品質の両方を高めることを目指す開発アプローチです。「開発のエキスパートだけでなく、業務やPMのエキスパートも高いレベルでAIを使えるようになって初めて、AIネイティブな開発が組織として実行できます。PMはプロジェクトの方針を決め、推進していく立場ですから、ぜひ参加してほしいと考えました」と話すのは、Generative AIコンピテンシーの共同リードを務め、システムディベロップメントコンピテンシーとプロジェクトマネジメントコンピテンシーのリードも兼ねる五十嵐 博(以下、五十嵐)です。

初日は、対象とテーマの異なる三つのセッションを実施しました。全社員向けの回では、Codexを単なるチャットではなく、複数のステップを自律的に進めて成果物まで仕上げるエージェントとして使う考え方を解説。スライド作成やExcelでの分析、ブラウザ操作など、コーディング以外の業務にもどう活用できるかを紹介しました。

PM・業務部門向けの回では、架空のWebサービスを題材に、顧客の声や社内情報から課題を捉え、実際の画面で問題を再現。改善案を比較・可視化した上で、A/Bテストの結果を想定したデータを分析し、必要な資料を作成するところまで、PMの一連の意思決定プロセスをCodexで支援するケーススタディを、デモを交えながら説明しました。


エンジニア向けの回では、AGENTS.mdによる開発ルールの記述、サンドボックスや権限ポリシーによるアクセス制御、レビュー用エージェントを使ったコードレビュー、テストやCodex Security等による検証など、エージェントに安全に仕事を任せるための環境設計を解説しました。三つのセッションを通じて共通していたのは、人がすべての操作を確認するのではなく、タスクのリスクに応じて権限や承認の範囲を設定した上で、実行や検証はできるだけエージェントに任せ、人は重要な判断や承認、最終レビューに集中するという考え方です。

想定を超えた反響に見えた、全社へのAI活用の浸透

ワークショップは会場とオンラインどちらからでも参加できるようにしたところ、2日間でのべ約1,500名が参加しました。当初の見込みは1,000名超でしたが、オンラインでの参加が想定を大きく上回りました。

初日から4日後の2日目は、当初は初日と同様のセッションを予定していましたが、アンケート結果などを踏まえ、別の内容に組み替えました。初日はコストを気にする声が多く、折しもOpenAIから一部モデルの価格引き下げに関する発表もあったことから、セッションの一つを「いかにトークンを効率よく使うか」をテーマにした内容に差し替えました。また、もう一つのセッションも、参加者の反応を踏まえ、より実践的な内容として、CI(継続的インテグレーション)をテーマに変更。初日の基本セッションは動画で見られるようにしました。
「もともと初日のアンケート結果を踏まえて2日目の内容をブラッシュアップするつもりではいましたが、セッションを丸ごと入れ替えるところまでは、当初の予定にはありませんでした」と藤田。この判断が奏功し、2日目は初日より参加者が増え、アンケートには「アンケートに書いたことが改善されていた」「実践的で有益だった」などの声が寄せられました。

五十嵐は「基本的なことは、それこそAIで手に入る時代。ただ、一般的な回答はネットにあっても、個別具体的な状況でどうするかまでは書かれていません。セッション最後の質疑応答は、質問している本人だけでなく、聞いている参加者にとっても学びがあったようです」と振り返ります。

PM・業務部門向けの回は、会場で参加するメンバーも多く、質疑応答は予定を10分ほど超えて盛り上がりました。エンジニア向けの回では「AGENTS.mdに書いたルールや、サンドボックスの権限設定が実際にどこまで効くのか」など、すでに使いこんだ人から踏み込んだ質問が続きました。セッション中は、Slackの実況中継チャンネルにも投稿やスタンプが多く集まり、関心の高さがうかがえました。

セッション以外の個別相談会は、とくにエンジニアの利用が目立ちました。「日頃からよく活用しているメンバーは、自分で調べて学ぶ人も多いのですが、それでもOpenAIの方に直接聞ける機会は貴重です。なかには質問したいことを10個以上テキストエディタに書き出して持ち込んだメンバーもいました」(藤田)


新規開発案件はAIネイティブ前提で進める仕組みづくり

シンプレクスにおける生成AI活用は、2023年のGenerative AIコンピテンシーの設立時から本格的に始まっています。設立時点でセキュリティ面を考慮した利用環境とガイドラインを整えており、2025年からはコーディングエージェントの全社利用へと広げてきました。

「会社の方針として、新規開発案件はAIネイティブ前提で進めることになっています。AI活用に長けたメンバーのプールがあり、必要に応じてプロジェクトにアサインしています」と五十嵐。人材プールには、厳選されたAI活用に専門性を持つメンバーがおり、各プロジェクトに入ってAIネイティブな進め方を現場で推進しています。

「Generative AIコンピテンシーのメンバーも、それぞれのプロジェクトの現場で手を動かしているため、各現場で得たものをガイドラインに素早く取り込み、全社に反映させることができます。また、シンプレクスは要件定義からリリースまでを自社で手がけているため、開発だけでなく、PMや上流工程のノウハウも得られます」(五十嵐)

今回のワークショップの反響を受け、OpenAIとの定例相談会も始まりました。定例相談会は継続的に開催し、実務上の課題を直接相談できる機会を設けています。こうした場を持ち続ける意義について、五十嵐は「自分たちの環境に合わせてカスタマイズしたものが本当に最適なのかは、聞ける場がなければ分かりません。OpenAIとのこうした場が必要なのは間違いないと思っています」と力を込めます。

AIの進化は目覚ましく、それに合わせてアセットも改善し続けなければならない。「終わりなき回転」と五十嵐は言います。「社員は前向きで、知識を得ようという意欲も高く、常に改善を続けています。難しいのは、AIの進化のスピードがこれまでのどんな技術とも比べものにならないほど速いこと。標準的なアセットやベストプラクティスも、一度つくって安定するわけではありません。それらを更新し続けながら、全社員が全システムで実践していく状態をどうつくるかに、今まさに取り組んでいます」

すでに大規模なプロジェクトでもAIネイティブな開発の成果が見え始めており、成功事例の発信を積極的に進めていく考えです。

社内で使い倒した経験を、クライアントへの価値提供に

こうした取り組みは、社内の業務を進めやすくするだけにとどまらず、クライアントへの価値還元にもつながっています。2026年7月には、グループのコンサルティングファームであるXspear Consultingが主体となって、企業がAI-Native Deliveryを導入し、組織に定着させるまでを支援する「Simplex AI Accelerator」の提供も始めました。

藤田はシンプレクスの強みとして、金融領域を長くやってきた会社ならではの、セキュリティやガバナンスへの意識の高さを挙げます。「当初から内部監査室や法務と連携し、安全を担保しながら活用しています。リスクがあるからとやみくもに禁止するのではなく、いかに活用していくかを全員で考えるマインドが社内に根付いているため、全社へ展開しやすいのです」。五十嵐も「私たちが手がけてきたのは、堅牢性や安全性が重視されるエンタープライズのシステムです。品質やセキュリティの説明責任を負っていますから、それを果たしながらAI活用を進めています」と補足します。

「AIを活用して開発を効率化できれば、お客様が必要とするシステムをより短期間で提供できるようになります。また、その分、お客様ごとの多様なニーズにも柔軟に対応できる機会が増えると考えています。AIを取り入れてはいるものの、まだ個人レベルの活用で組織に根付いていない企業も少なくありません。私たちは自社でAIを使い倒した経験をもとに実践的な支援ができます。また、グループにコンサルティングファームもあるため、単に理想の絵を描くだけではなく、構想から導入・定着まで一貫して伴走できます」(五十嵐)

藤田は、プロジェクトの現場で自ら手を動かしながら導入を支援してきた立場から、次のように語ります。「現場で得た肌感覚を、お客様の支援に生かしていきたい。そのためにも、社員の誰もが今よりさらに高いレベルでAIを使いこなせる状態をつくっていくつもりです」

グループ約2,000人規模の組織でAIネイティブな開発への転換を進めるシンプレクス。自社で使い倒して得た知見を生かし、クライアントの価値創出に貢献していきます。


PROFILE

シンプレクス株式会社
クロス・フロンティアディビジョン
エグゼクティブプリンシパル
五十嵐 博
大学院修了後、富士ゼロックス(現・富士フイルムビジネスイノベーション)に入社。その後、電通国際情報サービス(現・電通総研)のR&D部門で、先端技術の研究や大規模プロジェクトへの技術支援に従事。2005年にシンプレクス入社。
銀行・証券領域を中心に、プロジェクトマネジャーやアーキテクトとして幅広いシステム開発に携わる。現在はシステムディベロップメント、プロジェクトマネジメント、Generative AIの各コンピテンシーリードを務め、AI-Native Deliveryの全社推進に取り組んでいる。
シンプレクス株式会社
クロス・フロンティアディビジョン
エグゼクティブプリンシパル
藤田 幸久
FXや投資信託、保険などの領域でアーキテクトとして従事。その経験をもとに、システム開発全般の社内標準化を担当。シフトレフト施策やDevSecOpsに関連して、SASTやDAST、SBOMなどのセキュリティ施策の導入を主導した。
2023年7月に設立した専門組織「Generative AIコンピテンシー」では立ち上げ期から技術領域をリードし、生成AIの社内活用や業務効率化を推進中。直近では、開発以外の領域にも生成AIの活用を広げ、実プロジェクトで得た知見を全社向けに整理・展開している。
※所属、肩書は取材時のものです
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